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コーチング

会計士・税理士がプロコーチからコーチングを受けるべき理由

前回、キャリアコーチングをビジネスとして立ち上げる予定であることを記載しました。

私は会計士・税理士の特に若手の人たちはキャリアコーチングに限りませんが、独立のプロコーチからコーチングを受けることをお勧めしています。前回も書きましたが、特に転職に関連して、キャリアコーチングは受けるべきと考えています。

一方、特にBig4の会計事務所では、「コーチング」なるものが導入されていることになっていて、「コーチング」を受けていることになっている人もそれなりにいると思います。その結果として、

コーチングなんてやっても意味がない

という考えを持っている人が多いと思います。

そこで、今回は、なぜ、改めて会計士・税理士の若手が所属事務所以外の場でコーチングを受けたほうがいいのかについて記載します。

会計士・税理士がコーチングを受ける価値

キャリアの選択肢が多い=考えることが多い

転職活動をやったことがあれば気づいている人も多いと思いますが、少なくとも管理部門やコンサルティング会社、会計事務所で働くということを前提とすれば、会計士・税理士は会計プロフェッショナルとして求められるスキルを幅広く有していて、実務能力も高いと理解されています。このため、転職の選択肢は比較的広いです。特にBig4などの大手の会計事務所の会計士は該当すると思います。

この結果、転職市場に出たときに、業種未経験や職務自体が未経験でもポテンシャル期待で書類選考もバンバン通りますし、採用まで行けてしまうことが多いです。私自身の例でいえば、金融系は興味はあったもの仕事としての経験は一切ない状態で、監査法人のみが職歴の時点で、JP Morgan ChaseのBack officeに採用されてしまいました(ありがたいことです)。

選択肢が与えられるのは嬉しいことではあるのですが、特に精神的にネガティブな状況転職しようと考え始めている場合には、自分が何を次にやろうとしているのか、そしてある程度長期で何になりたいのか、というのが固まり切らないまま、なんとなくで決断した気にだけなるということになります。

ただでさえ、職場などでは転職を含めた相談は、普通に社内でのポジション交渉だけでも難しいのに、輪をかけて難しいわけで、一人で考えつくすのを選択肢の多さがより難しくします。

自分にとって最高な選択肢の方向を定める

そのために、やるべきことは、おそらく普通の就職活動では行われる自己分析などをしっかりしつくす、というところになるのですが、会計事務所に就職している場合には、これらをしっかりとやった経験がない人が多いと思います。また、新卒の時の就職活動と違って、ポテンシャルと希望だけで自己分析ばかりしても仕方なく、これまでの実績を考慮しながら、自己分析をする必要があります。

これは一人でもできます。しかしコーチングを受けながらやると、そのスピードが速くなり、また深度を増すことができます。(この部分がのなぜ、というのは別記事にするかもしれませんが、一般的なコーチングの話です。)

そして、コーチングを受ける場合は、上司や同僚ではなく、プロコーチに頼むべきです。プロコーチとのコーチングを経て、自分にとって最高の選択をできる状態をなるべく早く作るようにすることがおすすめです。

会計士・税理士の上司など以外からコーチングを受けるべき理由

コンサルティングとコーチングの違い

巷でも知られているような気がしますが、コーチング(coaching)はティーチング(Teaching)ではない、というような表現があります。これはコーチングの姿勢を示す言葉ですが、ティーチングとコンサルティングにも、また、若干の違いがあります。

ざっくり3つの違いを分かりやすくするために、3つを私なりの解釈で区分すると

  • コーチング – クライアントの問題をクライアント自身で解決するために、寄り添って、励ます。
  • ティーチング – クライアント問題の解決方法を教える。
  • コンサルティング – クライアントの問題を解決するための回答例を教える。

会計専門職はコンサルティングを行うマインドセットになっている

専門職である会計士・税理士に求められているのは、だいたいの場合、回答をクライアントに与えるコンサルティングです。会計士・税理士の立場からは、回答と言い切りたくないのですが、クライアントが求めているのは回答です。ソリューションビジネスという言葉が、まさにそれを示しています。コンサルタントはソリューションを売っているのです。監査や税務代理は違いますが、クライアントが求めているマインドとしては、お墨付きが欲しいというところで、ある種のソリューションとして機能していると思います。

なので、会計士・税理士はソリューションを提供できるように訓練されているはずですし、プロフェッショナルとして自信をもってソリューションを提供するように努力する義務があります。

自分のキャリアを考えることは、ソリューションとして人から提供されるものではありません。しかし、普段からソリューションを提供することに慣れてしまっていると、自分の経験や価値観に基づいて、ソリューションを部下に提供しようとしてしまいがちです。

自分自身では部下の自発性に任せて発言させているつもりでも、誘導的に自分のもっているソリューションの方向に話題を誘導していまうクセがついていることが多いのです。私自身もコーチングのトレーニングの中でフィードバックとして、話題そのものを誘導しようとしてしまっていると頂いたことがあるので、気を付けなくてはいけないところです。

上司・同僚はあなたのキャリアに利害関係がある

当たり前ですが、個人にとってのもっともよいキャリアを進むことがが今の事務所・会社にとってもっともよいシナリオとは限りません。

その中でも、現在の上司・同僚というのはもっともあなたの選択と行動によって影響を受けるので、自分に不利になることを全力で励ますのは難しいです。

すごいいい人だから大丈夫、ということもあると思いますし、私の過去の上司もそういう人がいたと思っています。それでも、どこかで利害関係のことがあなたの頭をかすめるのであれば、利害関係の人にもコーチングをしてもらったほうがいいのは間違いないでしょう。

プロコーチとしてキャリアコーチングサービスを会計士・税理士が提供する理由

私自身は公認会計士・税理士で、それを今のところ本業としていますし、社会人として15年以上、公認会計士であることを前提としてお仕事してきています。

コーチングについても取り組んでおり、プロコーチを名乗る予定です(そのために今、民間資格ですが認定資格取得に取り組んでいます)。

会計士・税理士のマインドセットはコーチングに向いていないと書いていますが、私自身はプロコーチとしてのマインドセットを別に開発しているつもりです。

コーチングにおいてコーチは、壁打ちの壁であったり、鏡であったりとして機能するようにと言われますが、鏡が向いている方向がクライアントでないと意味がないです。そのためには、監査法人、外資系大手投資銀行バックオフィス、中小企業管理部門と経歴がある私は、会計士・税理士のためのコーチとして適任であろうと自負しています。